名義変更とは
自動車手続きにおける名義変更とは、自動車の売買や譲渡、相続等により、自動車の「所有者」が変わる際に行う手続きのことで、正式には「移転登録」といいます。
なぜ名義変更する必要があるのか?
まず一般的効力として、道路運送車両法第5条では、「登録を受けた自動車の所有権の得喪は、登録を受けなければ、第三者に対抗することができない。」と定めています。
すなわち、取得した自動車の所有者が自分であると主張するためには、前の自動車の持ち主から自己への名義変更(移転登録)手続きを行っておかなければなりません。もしこの手続きを怠り、旧所有者が二重売買を行ったとすると、もう一方の買主が名義変更手続きを済ませていれば、自分が所有者であると主張することはできなくなります。逆に自己が先に名義変更手続きを済ませていれば問題ありません。(未登録自動車は除く)
上記以外にも、
- 自動車の名義変更を行わずにいると、リコールの案内(車の欠陥に関する重要な通知)が届かない。
- 自動車税の納付通知書が前の自動車の持ち主(旧所有者)に送られるためトラブルの原因となる。
- 盗難にあった際、真正な所有者の確認に時間が掛かる。
などのデメリットが生じます。
特に2月~3月に所有者の変更があると要注意です。年度末はどこも忙しくて後回しになりがちですが、早めの手続きが必要です。
また、万が一自動車事故を起こした場合には、前の自動車の持ち主に損害賠償や慰謝料の請求などの通知が行く事もあり、最悪の場合、前の自動車の持ち主が起こしてもいない自動車事故の責任を、代わりにとらなければならない事態が発生してしまうかもしれません。
道路運送車両法第13条では、「所有者の変更があったときは、新所有者はその事由があったときから15日以内に移転登録(名義変更)をしなければならない」と定めています。
よって自動車の所有者が変わったら速やかに名義変更の手続きを行う必要があります。
自動車の名義変更を行う際には、一部を除いて車庫証明が必要になりますので、自動車の名義変更をされるときには事前に車庫証明を取得しておきます。
所有者と使用者
所有者とは
所有者とは、その自動車を「所有」する所有権を持った人(法人)の事です。所有者は、その者の意思で自由に売却したり、貸したり、処分したりすることができます。
使用者とは
使用者とは、その自動車を「使用」する人(法人)の事です。使用者は所有者と違い、自由に売却したり、処分することはできません。ローンを利用した自動車購入の場合は、ローン会社が所有者となる所有権留保が付けられることが多く、その場合は購入者は使用者の立場となります。
名義変更手続きの流れ
自動車の名義変更を行う手順として、まずは警察署で車庫証明を取得して、名義変更に必要な書類を準備・記載していきます。
名義変更手続きに必要な種類を揃えたら、書類と旧所有者のナンバープレートを持参して、管轄の運輸支局または自動車検査事務所へ提出しに行きます。
管轄の運輸支局または自動車検査事務所の窓口に、手数料印紙を貼り付けた必要書類と旧所有者のナンバープレートを提出・返納して、車検証を受け取ります。
次に、運輸支局または自動車検査事務所に併設された自動車税事務所に行き、自動車税と自動車取得税を申請します。自動車税と自動車取得税を収めたら、もう一度、運輸支局または自動車検査事務所に戻って、新たなナンバープレートを購入してください。
自動車に、新所有者のナンバープレートを取り付けたら、自動車の名義変更手続きは完了です。
名義変更の際の注意点
名義変更手続きの対象となる自動車を旧所有者がローンで支払っている(いた)場合、名義変更手続きの他に、所有権解除という手続きを行う必要があります。
もし、所有権解除の手続きを行わずにいると、車検証の所有者の項目が、自動車の購入先やローン会社になっている可能性が出てきますので注意が必要になります。
また、名義変更手続きが完了したら、自賠責保険の名義変更を保険会社で行うことも必要になります。自賠責保険の名義変更を行わないでいると、万が一事故が発生した場合などに自賠責保険の旧保険契約者(旧所有者の場合がほとんどです)に保険の手続きを行ってもらう必要が出てきますので注意しておいてください。併せて任意保険の車両入れ替え手続きもお忘れなく行って下さい。